はじめに:50代未経験でも医療事務は務まるのか?異業種からの転職と挑戦中のお仕事のリアルな感想
30代の頃に事務職の経験はあるものの、医療業界は初めて。そんな50代の元キャディが、異業種の医療事務(受付)に応募して採用され、仕事を三ヶ月経験した今、思うことを語ります。
医療業界にチャレンジしてみたいと考えている方
医療業界に問わず、この年齢で異業種に挑戦できるのかしら?と不安を抱えている40代、50代の方
そんな方に少しでも参考になれば幸いです。
異業種からの挑戦!50代の私が「なんとかなる」と感じた理由
PC操作への抵抗がなければ大丈夫!
30代の時に事務の経験があるとはいえ、お仕事でPCを使うのは20年ぶり。老眼が進み始めたこんな私でもPCの基本操作(文字入力)ができれば、電子カルテの入力や会計業務は慣れの問題でした。
特に医療事務ソフトに関しては、たくさん文字を入力する作業などはなくて、ほとんどがコピペ対応できる操作になっているので、入力に関しては難しいことはほぼありません。
PCを扱ったことがないという方以外は、普通にできる簡単な操作がほとんどです。
「新しいこと」を学ぶのが好きな人には向いている
新しいシステムやソフトを覚えることへの抵抗感が少なければ、意外と順応できるものです。
さらに、新たな分野を学ぶことを楽しめる好奇心があれば、お仕事も楽しくなります。
毎日少しずつでも成長を実感し、マニュアルを見なくても会計入力がスムーズにできるようになった時は、嬉しかったです。
日々の業務が、自分自身の成長につながるので、とてもやり甲斐を感じられます。
接客が好きなら、そのスキルが活きる!
クリニックでの医療事務は、患者さんとの接点も多いため、接客が好きな方、事務作業だけにとどまらず接客業務も好きな方にはオススメです。
私はずっと座りっぱなしの事務よりも、事務作業も接客も両方できるようなお仕事を希望していたため、自分の働きたいスタイルに合っていましたし、元キャディとしての接客経験が、今のクリニックでの患者様の対応に役立っていると感じています。
前職の様々なお客様とのコミュニケーションを通じて、患者様と自然に、臨機応変に対応できる技を身につけていると感じています。
人生経験豊富な40代、50代の皆さんは、医療事務の現場でその力を大いに発揮できます。特に、患者様とのコミュニケーションにおいて、その強みは計り知れません。
経験が活きる!「対人スキル」は50代の大きな武器
医療事務、特に受付業務は、患者さんとクリニックをつなぐ「顔」となる大切な役割です。初診の不安、体調不良、治療への疑問…様々な感情を抱えて来院される患者さんに対し、ただ事務的に対応するだけでは、心は通いません。
ここで、40代、50代の皆さんが持つ豊富な人生経験が、何よりも大きな武器となります。
私たちは、これまで様々な人間関係を築き、多くの場面で喜びや困難を経験してきました。だからこそ、相手の表情や言葉の端々から感情を察したり、先回りして必要な気配りをしたり、時には状況に応じて落ち着いて対応したりする能力が、自然と身についているはずです。
笑顔と丁寧な言葉遣い、そして「察する力」
患者さんが一番求めているのは、安心感と信頼です。
- 温かい笑顔は、患者さんの緊張をほぐし、親しみやすさを感じさせます。
- 丁寧で分かりやすい言葉遣いは、専門用語が多い医療現場で、患者さんの不安を軽減します。
- そして、「察する力」。これは、マニュアルにはない、まさに人生経験からくる強みです。患者さんが言葉にしない困りごとや、体調の辛さを汲み取り、適切な対応ができること。
これらは、日々の経験で磨かれた「対人コミュニケーション能力」の結晶です。元キャディの私自身も、これまでゴルフ場で老若男女、様々な個性のお客様と接してきた経験が、今の医療事務の現場で大いに活かされていると実感しています。
事務処理能力ももちろん大切ですが、医療現場では、この**「人と人との繋がり」を築ける対人スキル**こそが、何よりも重宝されます。50代だからこそできる、心温まる医療事務のプロを目指しませんか?
医療事務「専門用語」の乗り越え方!
1. 「最初はチンプンカンプン」は当たり前!
医療事務の仕事に足を踏み入れたばかりの頃、誰もが一度は感じるであろう「専門用語の壁」。私も最初は、「これ、本当に覚えられるの!?」と、まるで外国語を聞いているような感覚に陥りました。病名、処方薬、検査名、保険制度の略語…まさに未知の単語のオンパレードです。
最初はチンプンカンプンでも、毎日触れているうちに自然と耳に入ってくるし、分からなければ調べれば良い、まずは慣れることからです。
「病名を聞いてもピンとこない」「処方箋に書いてある薬の名前が読めない」「患者さんの症状を聞いても、どの診療科に案内すればいいか分からない」――そんな不安でいっぱいになるかもしれません。でも、ご安心ください。これは、誰もが通る道です。私も含め、多くの未経験者が同じように感じています。大切なのは、「最初は分からなくて当たり前」と開き直ることです。
2. 「生きた現場」が最高の教科書!
医療事務は、まさに「生きた現場」が最高の学び舎です。
- 毎日触れる中で、自然と耳と目に入ってくる: 受付で患者さんの名前と症状を聞き、カルテを見て、診療費を計算する。この一連の流れの中で、同じ専門用語が何度も繰り返し出てきます。最初は意味が分からなくても、毎日触れているうちに「この言葉はこういう時に使うんだな」と、文脈で理解できるようになります。
- 「?」をそのままにしない勇気: 分からないことがあれば、臆せず先輩や看護師さんに質問しましょう。最初は緊張するかもしれませんが、皆、快く教えてくれるはずです。メモを取り、自分なりの用語集を作るのも非常に有効です。
- クリニック独自のルールも自然と習得: 医療用語だけでなく、そのクリニック特有のルールや略語もあります。これも、日々の業務の中で、先輩の動きを見たり、実際に手を動かしたりしながら、少しずつ体で覚えていく感覚です。
最初は戸惑っても、焦る必要はありません。医療現場の空気、そして日々の業務が、あなたの「学びたい」という気持ちに応えてくれます。気づけば、あなたもスラスラと専門用語を使いこなし、「生きた医療」の知識を身につけているはずですよ。
業務をこなす中で、実践で学び、一連の流れを繰り返すことで、50代で物覚えに自信がなくても、必ず身につきます!
職場の人間関係:結局は「どんな人と働くか」が最重要!
転職を考える際、給与や仕事内容と同じくらい、いや、それ以上に重要になるのが**「職場の人間関係」**です。特に、クリニックのような規模の小さい職場では、これが日々の満足度に直結します。
院長との距離感と接し方:クリニック勤務の醍醐味とリスク
クリニックの場合、院長は文字通り「そのクリニックの顔」であり、経営方針から職場の雰囲気、スタッフの働き方まで、すべてにその人柄が色濃く反映されます。
私は元キャディとして、様々な経営者や個性豊かな方々と接してきました。その経験から、院長との距離感をどう築くかが、働きやすさの鍵だと感じています。クリニックは、大手病院と比べて院長との距離が非常に近いです。これは、経営者の考え方や方針を間近で体感できるという大きなメリットでもあります。
もし、あなたが「経営や方針に興味がある」「トップの考えを直接学びたい」と思うなら、クリニックは最適な環境かもしれません。尊敬できる、共感できる院長のもとであれば、日々の仕事は学びと喜びに満ちたものになるでしょう。しかし、残念ながら、尊敬できない、あるいは相性の合わない院長に当たってしまった場合、日々の業務は途端にストレスの多いものに変わってしまいます。
だからこそ、転職活動の際には、自分がどんな距離感で経営陣と接したいか(近くで学びたいのか、一定の距離を保ちたいのか)を事前に考えておくことが重要です。大規模な病院であれば、部署が細分化されており、経営層と直接関わる機会は少ない傾向にあります。自身の望む働き方に合わせて、病院かクリニックかを選ぶのも賢明な選択と言えるでしょう。
「常に求人が出ている職場」には要注意!
そして、これは医療業界に限らず言えることですが、常に求人が出ている職場は、何かしらの問題を抱えている可能性が高いです。せっかく新しい一歩を踏み出しても、人間関係のトラブルや過重労働などで短期間に離職者が絶えない…といったケースは少なくありません。
「いい職場に巡り合うのって本当に難しい!」と感じるかもしれませんね。でも、だからこそ、転職先の情報収集は入念に行い、可能であれば実際にその職場の雰囲気を感じ取ることが大切です。
結局のところ、どんな業種であっても、日々の仕事の満足度は「どんな人と働くか」に大きく左右されます。あなたの新しい挑戦が、心から「ここで良かった!」と思える出会いに恵まれることを心から願っています。
知っておきたい!クリニック・病院の「科」による忙しさの違い
医療事務として働く上で、意外と見落としがちなのが、従事する「科」によって、仕事の忙しさや内容が大きく異なるという点です。私も現在のクリニックで日々実感していますが、他の病院やクリニックでの経験がないため、まさに「うちのクリニック、特殊かも?」と思うこともしばしばです。
私の勤務するクリニックは、透析、泌尿器科、内科を併設しており、それが理由で非常に多忙な毎日を送っています。特に透析は予約制ではあるものの、患者さんの入れ替わりが頻繁で、外来の対応とは別に透析の患者様の送り出し、補助業務もあり、常に時間に追われます。
加えて、院内処方のシステムも採用しているため、患者さんへの薬の準備・説明も私たちの業務範囲。これがまた、一つ一つの業務に時間がかかり、忙しさに拍車をかけている要因だと感じています。
このように、例えば次のような科では、業務内容や患者層の違いから忙しさが変わる傾向があります。
内科・小児科: 患者数が多く、急な発熱など緊急性のある来院も多いため、常に受付や待合室が混雑し、迅速な対応が求められる傾向があります。
整形外科: 外傷やリハビリテーションなど、診療内容が多岐にわたり、レントゲンや処置の準備、リハビリ室への誘導などで動きが多いことがあります。
皮膚科・眼科: 比較的予約制を取り入れているところが多く、内科などと比較すると、ある程度患者さんの流れが予測しやすい場合もあります。
心療内科・精神科: 患者さん一人あたりの診察時間が長く、予約制が基本で、比較的落ち着いた対応が求められることが多いです。
もちろん、これは一般的な傾向に過ぎません。同じ科でも、クリニックの規模や立地、院長の方針、スタッフの人数によって、忙しさは大きく変わってきます。
だからこそ、医療事務への転職を考える際には、**「自分がどんな医療分野に興味があるか」という視点だけでなく、「その科が持つ一般的な忙しさの傾向」や、「院内処方かどうか」「予約の取り方」**といった具体的な業務フローまで、リサーチしておくと良いでしょう。
私の場合は、忙しいからこそ時間が経つのがあっという間で、今のところ仕事自体は嫌いではありません。むしろ、次々とこなしていく達成感や、多くの患者さんと関われることにやりがいを感じています。
あなたにとって最適な働き方を見つけるために、ぜひ興味のある分野のクリニックの情報を集めてみてください。そして、実際にその職場の雰囲気や業務内容をイメージしてみることが、後悔しない選択への第一歩となるはずです。
まとめ:医療事務は50代の未経験者でも挑戦できるし、十分に務まるお仕事です
私の実体験から、医療事務は50代からでも十分に挑戦でき、そして務まる仕事だと、自信を持って言えます。
何よりも、40代、50代が培ってきた人生経験や、相手を思いやるコミュニケーション能力は、患者さんと向き合う医療現場で大きな強みとなります。
大切なのは、事前にある程度の情報を集め、そして何より、あなた自身の「やってみたい」という気持ちを信じることです。
年齢を理由に諦める必要は、どこにもありません。 「今から新しいことに挑戦したい」「人の役に立つ仕事がしたい」そう感じているなら、ぜひ医療事務という選択肢を考えてみてください。
あなたの**「行動する勇気」**が、きっと新しい扉を開き、充実したセカンドキャリアへと繋がるはずです。